よくマーケティングのお話の中で
「認知が大切」ということが言われます。
自社についての情報を
あらかじめ見込み客に知っておいてもらうと、
必要な時に思い出してもらえたり、
プロモーションが浸透しやすかったり、
商談の時に安心感や信頼感を
感じてもらいやすいから有利だ、
と一般には言われています。
もちろんそれは正しいのでしょうが、
意外と見落としがちなのは、
「自社の認知」と同じくらい
「課題の認知」が大事だと言うこと。
どれだけ自社について知ってもらっても、
見込み客自身が
「自分の課題は何なのか?」
「自分は今何に困っているのか?」
を理解していないと、
「この会社は、自分の抱えている課題を
解決してくれそうだ」
と言うことにならない。
たとえば、原因がわからないけど
もう1週間以上体のだるさが取れなくて
何とかしたいと思っている人の頭の中は、
いくつかのパターンに分かれていて、
「原因はわからなくてもいいから
とにかくこのだるさを何とかしたい」
と考える人もいれば
「このだるさを何とかするために
原因を把握したい」
と考える人もいます。
ターゲットはどちらも
「体のだるさに苦しんでいる人」
なんだけれども、
課題の認知には若干ズレがありますよね。
もしあなたが、栄養ドリンクのメーカーなら、
「休息をとっても治らない体のだるさを
この栄養ドリンク1本で解消できます」
と訴えればいいわけですし、
もしあなたが健康診断サービスを提供するなら
「体のだるさの原因は何かの病気かも
しれないので、健康診断で調べてみましょう」
と訴えればいい。
問題は、自分のサービスを認知させる前に、
見込み客がどのように課題を認知しているかを
理解しておくことです。
「体がだるい人は、健康診断を受けてください」
とだけ訴えても、言われた方は
なんで受けないといけないのか
わからないかもしれません。
伝えるべきメッセージは、
「体のだるさは何か別の病気が
原因かもしれません。」
「それを調べるなら、私たちが提供する
健康診断サービスがとても有効です」
と言うことなのですが、
後半のメッセージが機能するには、
前半のメッセージが見込み客の頭の中に
入っていないといけません。
そして、前半の部分こそ、「課題の認知」です。
見込み客が体のだるさを感じた時に
「体がだるくて辛いなぁ、
手っ取り早く解消したいなぁ」
と思うのではなく、
「体がだるくて辛いなぁ。
それに何かの病気だったら嫌だなぁ。」
と思ってもらえるかどうかで、
健康診断サービスが解決方法の選択肢に
入るかが変わってくるわけです。
ちなみに僕たちは、
自分が課題だと感じていることを
解決しようと協力してくれる人に対しては
「親切な人」と感じるのですが、
自分が課題だと思っていないことを
解決しようと干渉してくる人のことを
「お節介な人」と感じます。
自社の認知を高めるのは大切だけど、
課題の認知も進めておかないと、
「親切な会社」ではなくて
「お節介な会社」になっちゃいますよ、
と言うお話でした。