カルビーが、ユーザー一人ひとりの腸内環境に合わせたグラノーラのサブスク型サービスを開始しました。「サブスク」という言葉はすでに定着していますが、結構雑な理解をされている場合もありますので、今回は振り返り的に、サブスクビジネスのポイントについて解説したいと思います。
■目次
引用記事
腸内環境に合わせたグラノーラ
記事要約
カルビーは、シリアル食品グラノーラのD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)販売を始めると発表した。利用者の腸内環境を検査し、タイプに合った商品をオンラインで定期購入してもらう。
新サービス「Body Granola(ボディーグラノーラ)」は、1カ月20食分が税込み・送料別で3780円。市販商品に比べてより消費者の体質に合った食品を提供し、健康維持に役立ててもらうのが狙いだ。健康や美容に関心の高い、20~40代の女性を主な利用者層として想定する。
ボディーグラノーラでは、消費者はまず腸内環境検査キットを注文して採便し、自身の腸内環境を確認する。検査は共同開発者のサイキンソー(東京・渋谷)が担い、1カ月ほどで結果がわかる。検査では、57のタイプに分類した腸内細菌の集合体「腸内フローラ」のうち自分がどのタイプに該当するかがわかり、主要な菌の保有割合などもわかる。
腸内環境に合った食事を取り入れることで、腸内細菌の代謝機能を良好な状態に保ち、腸内細菌の多様性を維持できるという。
ポイント解説:サブスクの本質はユーザー一人一人への最適化
「サブスク」という言葉が一般に定着しましたが、「サブスク」「定期購入」「定額使い放題」などどう違うのでしょうか?厳密な定義ではありませんが、ビジネスモデルや価値提供の面から僕は以下のように使い分けています。
- 定期購入:毎月や2ヶ月に一回などの定期的な頻度で、決まった金額を支払い、一定量の商品やサービスを受け取る。
- 定額使い放題:一定期間であれば、同じ金額を支払うだけでいくらでも商品やサービスを使って良い(権利を売るイメージ)。
- サブスクリプション:一定期間、一定量の商品やサービスを使用する権利を買うのだが、商品やサービスは一人一人の顧客に最適化されており、顧客は同じ金額で同じサービスを使用するのだが、得られる体験は一人一人に合わせてカスタマイズされている。
今は、顧客一人ひとりが自分にパーソナルに最適化された商品やサービスを欲しています。その点で今回のカルビーの新サービスは、初期段階で自分の腸内環境を調べて、その後提供される商品が最適化されているので、サブスク的なサービスといえます。
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自社のマーケティングに活かすには?
サブスクを含めた「定期購入型」の決済は、顧客満足度を高く維持することができれば、非常に安定した収益を見込めます。しかし、従来の定期購入の仕組みは、顧客の離反傾向を捉えることが困難でした。ITをサービスに組み込むことで、顧客の離反や満足度低下の兆候を捉え、それを改善することができると、LTV(顧客生涯価値)が高まります。実はカルビーの今回のサービスの中には、今の所「顧客離反の傾向をキャッチし、顧客へのカスタマイズレベルを改善する」仕組みがあるのかまでわかりませんでした。
サブスクは魅力的な販売形態ではありますが、当然購入者からすれば購入ハードルは高いので、成約までに費やすコストも高いです。ですから、顧客の契約期間を延ばす仕組みが結構重要。自社がサブスクをビジネスに取り込むときは、「高い満足度を維持して、離反・解約をいかに防ぐか」についてもよく考えておくといいですね。