見知らぬ言葉がどんどん出てきて大変ですが、飲料業界で「ソバーキュリアス」という言葉が重要になっています。平たくいうと「飲めるけど、あえて飲まない」ということ。この新しいトレンドやニーズに、既存のノンアル飲料だけで対応できるのでしょうか?今回は、既存の商品が想定外の新しいニーズにマッチした時の対処法を考えます。
■目次
引用記事
選ぶのはノンアル・低アル 健康を意識、「あえて飲まない」も
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80035340Q2A210C2H24A00/
記事要約
・新型コロナウイルス禍で健康志向が強まるなか、ノンアルコールや低アルコール飲料の市場が拡大している。あえてアルコールを飲まない「ソバーキュリアス」(「sober(しらふ)」と「curious(好奇心)」を組み合わせた造語)と呼ばれるライフスタイルにも関心が集まる。国内のビールや清涼飲料市場が縮小するなか、新たな成長市場を取り込もうと各社がノンアルやアルコール度数が低めの商品を拡充している。
・国内の清涼飲料やビール市場が人口減から長期的な縮小が予想されるなか、ノンアル市場は伸び続けている。活況なノンアル市場の背景には、コロナ禍による健康意識の高まりや習慣の変化がある。コロナ禍で健康に留意する人が増えたといい、インテージは「健康上の懸念からアルコールの摂取を控える動きがあった」と説明する。加えて、外食の機会が減り、その場の雰囲気を気にせずに自分の好きな商品を選ぶことができる家飲みの機会が増えたこともノンアルが広がった一因といえそうだ。
・アルコールの負の側面がクローズアップされたことで若者を中心にお酒を飲まない人も増えている。SDGs(持続可能な開発目標)やエシカル消費への関心の高まりから、アルコールへの逆風も強まった。数少ない成長市場を取り込むため、各社は商品の拡充に動いている。
ポイント解説:商品カテゴリーの質の変化に注目
・ノンアルコール飲料が出てきたのは、飲酒運転の罰則が厳しくなり、ドライバーが飲むものがないという問題が起きたからではなかったか。つまり、元々のコンセプトとしてノンアル飲料は「飲みたい人が飲めない時に飲むもの」もしくは「飲めない人が酒の席でお付き合いのために飲むもの」だった。
・しかし、「アルコール成分を含まない」という同じ商品特徴であったとしても、ソバーキュリアスなドリンクは「飲める人でも、健康への配慮やその日の気分から、あえてノンアルなドリンクを飲みたい」という需要を想定している。そこで求められるのは、従来の「ビールそっくり」「ワインそっくり」という、本物っぽさなのだろうか?
・もちろん、本物っぽさを求める人もいるだろうが、しかしどう頑張ってもアルコールが入れられないのだから、全く同じにはならない。それならばいっそ、ノンアルコールカクテル的な感覚で、「そのものの美味しさ」を追求するという選択肢もある。
・今はミクソロジーカクテルなど、従来の作り方に捉われない新しいカクテルも登場している。さまざまな手法を組み合わせて、全く新しいソバーキュリアスドリンクが生まれることが予想される。
・このように、同じ商品カテゴリー(ノンアルコール)に対するニーズであっても、ニーズが発生する理由によって、ニーズへの応え方は変わってくる。ノンアル飲料とソバーキュリアスドリンク。同じ「ノンアル」でも、似て非なるものだと理解したい。
関連リンク
・飲まない生き方ソバーキュリアス 著者 ルビー・ウォリントン https://honto.jp/netstore/pd-book_30968196.html
自社のマーケティングに活かすには?
・今売れている商品が、「売れている理由」を正確に把握していますか?予想以上の売れ行きの時は、もしかしたら「想定していなかったニーズ」を取り込んでいる可能性があります。
・しかし、今のままではその「想定していなかったニーズ」に完全に適応・最適化できているとは限りません。お客様は「この商品がベターだ」と思って買っているだけで、「ベストだ」とは思っていない可能性があります(つまり、市場にベストな商品がないので、ベターで我慢している状態)。
・「想定していなかったニーズ」について、しっかりとリサーチして深掘りして、そのニーズにベストなマーケティング戦略を実行しましょう。その際は、想定していなかったニーズを抱いている「ターゲット(顧客)は誰なのか」「なぜそのニーズが発生しているのか」を必ず押さえましょう。