岡山のある会社が、「宇宙一」を目指すプロジェクトを立ち上げました。年々利用者数が減っているバス事業の再起をかけて、かなり思い切った取り組みをしています。今回は取り組みの内容よりも、新しくて大胆な施策を実現するために、「目標設定」をどのように活用するかを考えます(あまりマーケティングと関係ないかも)。
■目次
引用記事
両備グループ「面白い公共交通めざす」 毎月新たな企画、乗客倍増へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79650090Y2A120C2H53A00/
記事要約
・両備グループ(岡山市)はバスの利用促進に向けた「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」を始めた。
・「バスの乗客は毎年3~5%ほど減少が続き、新型コロナウイルス禍で2020年度は19年度比2割減った。客が減れば増やす努力をするのが普通のサービス業だが、公共交通は減るのに合わせて便数を減らすなどしてきた。ずっと削ってきたのを逆回転させられないかという発想だ」「予算は例年の利用促進の約10倍の5000万円をかける。毎月新たな企画を出し、本気で結果を出す1年にする。乗客の倍増が目標だ。」
・「バスの利用促進一つをとっても業界の常識にとらわれない視点が必要だ。マイカーとは違い、バスに乗っている間は時間ができる。例えば勉強したい人のためになる施策を考えるとか、消費者の声を聞きたい企業のアンケートに乗客に答えてもらい、乗客でなく企業がバス代を支払うしくみを考えるとか、目線を変えると違う世界が生まれてくる」
ポイント解説:大風呂敷を広げると思考も広がる
・毎年利用者が減っていく中で、乗客の倍増を目標に掲げるのはかなりの大風呂敷。しかし、そういう無理っぽい目標を掲げることで、普段だと冷笑されるような大胆なアイディアが出せるようになる。
・途中で、バスとマイカーの違いをたくさん洗い出し、それをビジネスアイディアにつなげていっているのが面白い。こういう話も、実はお酒の席では話していたかもしれないが、会社の会議で大真面目に考えられるかというと、そうでもない場合が多い。「言い出しっぺがやらされるんじゃないか」「熱くなっているのは自分だけで、周りは冷めているんじゃないか」など、不安で言い出せないことも多いだろう。
・トップが真剣に「宇宙一面白いものを目指す」と言えば、そういう大胆なアイディアが言いやすくなる。ボトムからアイディアが出てくることで、実行する際に「上に言われたからイヤイヤやる」のではなく、「自分達のアイディアが採用されたんだから、やってみよう!」と前向きな力が生まれる。そんな気がする。
関連リンク
・両備グループ https://ryobi.gr.jp
・「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」特設サイト https://uchu1prj.jp
自社のマーケティングに活かすには?
・まず、大胆な施策を実行したい時は、大胆な目標を立てましょう。「売上2倍」「利益2倍」何でも構いません。
・次に、キャッチーな名前を考えましょう。今回なら「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」。売上や利益などの数値目標ではなく、それが実現できた時、どんな未来が成立しているのか、ワクワクする情景を考えます。
・プロジェクトの中のキーワードを大切にしながら、マーケティング施策を考えてみましょう。今回なら「宇宙一面白い」ことが大切。いきなり、「売上が2倍になるマーケティング施策」を考えようとしても出てきません(もし出てくるなら、その人は天才です)。それよりも、「どうしたら宇宙一白いだろう?」と考えていくと、今までとは全く違うアイディアが出てきます。その中から、本当に業績につながりそうなものを選ぶという順番です。
・枠を外したブレストが社内メンバーだけでできなさそうなら、ご相談ください!