「ニンテンドースイッチ」のゲームソフト「 ナビつき!つくってわかるはじめてゲームプログラミング」が人気です。プログラミングが学べるゲームという発想自体は目新しくはないですが、ポイントとなるのは、個々のプログラムをキャラクター化した約80体の「ノードン」。これは実は、最近ビジネスの世界で大きなトレンドになっている「カスタマーサクセス」の概念で理解すると、かなりの大発明に思えます。
■目次
引用記事
ナビつき!つくってわかるはじめてゲームプログラミング(任天堂)ゲーム作りの楽しさ ゲームに
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80038320Q2A210C2H99A00/
記事要約
・プログラミングを題材とした「ニンテンドースイッチ」専用ゲーム。様々な役割を持ったノードンを組み合わせてゲームを作る。
・開発の原点は、段ボールを組み立てて遊ぶ「ニンテンドーラボ」(2018年発売)の機能「トイコンガレージ」だった。画面上で自由にプログラミングしてオリジナルのゲームを作れる応用編的な機能だったが、思わぬ発見があった。自分でプログラミングをしたキャラクターが動くだけで初心者の人が喜んでくれたことだ。「自分でゲームの中のモノを動かせると思っていなかった」などの感想を聞くうちに、私自身もプログラミングをやり始めたころに感じた「何かを作る楽しさ」を再認識した。そんな経験から、ゲームを作ること自体を目的にしたゲームができないかと考えた。
・とにかく進行のハードルを低くすることを意識した。例えば、「音を出す」「振動する」などの機能を持った「ノードン」というキャラクターを約80体用意し、それらを連結させることでゲームを作れるようにした。トイコンガレージでは無機質な箱をつなげる仕様だったが、キャラクター化で親近感が生まれたし、各ノードンの機能も覚えやすくなったと思う。
・プログラミングはあくまでも「何かを作るのって楽しい」と感じてもらう手段だ。このゲームで感じた楽しさが、ゲームの自作やプログラミングへの挑戦の最初の一歩につながればうれしい。
ポイント解説
・このゲームが売れた最大の理由は、「難しいことを簡単なことに分解し、顧客に成功体験を提供できたこと」だろう。グラフィックや企画のクオリティも当然高いのだろうが、「どうすればお客様が欲している成果を手に入れられるか」がよく考えられている。
・この場合の「欲している成果」は、すごくレベルの高いゲームを作ることではなく、「自分でゲームが作れるという体験をする」ことだ。だから、出来上がりのゲームの精度よりも、まずは「自分で作れる」ことにフォーカスしている。
・それを叶えるために、「ノードン」というキャラクターの組み合わせでゲームができるという仕組みを作り、ハードルを下げている。「これで本当にプログラミングが学べるのか?」と思う人もいるかもしれないが、今のノーコードプログラミング(コードを使用しないプログラミング)のトレンドを考えれば、まずはこういった「既存のコードの組み合わせでプログラムできるようになる」という体験が積めれば十分だろう。
関連リンク
・ ナビつき!つくってわかるはじめてゲームプログラミング https://www.nintendo.co.jp/switch/awuxa/index.html
・ニンテンドーラボ https://www.nintendo.co.jp/labo/
自社のマーケティングに活かすには?
・最近は「カスタマーサクセス」という言葉がよく使われる。これはセールスやマーケティングの手法として、「顧客が得たい成果を手に入れるサポートをすることで、商品やサービスの価値を実感してもらい、購入に誘導する」というもの。この発想を商品のデザインそのものに取り入れているのが、今回のゲーム。
・自社の商品やサービスを「カスタマーサクセス」という観点で見直してみよう。お客様全員が、望む成果を手に入れられているだろうか?もし出来ていないとしたら、何が原因だろうか?
・その原因を解消するために、どんな工夫ができるだろうか?分かりにくさが原因なら、どうすれば分かりやすくなるのか?ユーザビリティが原因なら、どうしたら使い勝手が良くなるのか?
・今回のゲームは、「分かりにくい」という課題を「キャラクター化」という手法で解決している。原因が特定できれば、解決の仕方は世の中に転がっている。当てずっぽうで対策するのではなく、しっかりと原因の特定を行ってみたい。