2026年5月28日、春日井商工会議所主催「0から学ぶ初めての生成AI活用セミナー」に、代表・中島正博が講師として登壇しました。平日午後の2時間、経営者・事業者の方々を中心にご参加いただき、「今日が生成AIを勉強する初めての機会」という方がほぼ全員というゼロスタートの場となりました。
セミナーのゴールは4つ
この2時間でお伝えすることとして、冒頭に4つのゴールを提示しました。
「正しく理解する(仕組みを知らないと正しく使えない)」「実際に操作する(手を動かして体感する)」「仕事に使える内容を知る(明日から使えるヒントを持ち帰る)」「安全に使う(道具の使い方を間違えると大きなリスクになる)」——この4点を軸に、講義一辺倒にならないよう、その場でChatGPTをインストールして実際に触れながら進める形式で実施しました。
なぜ今、生成AIなのか
クイズからスタートし、まず数字で現状を実感していただきました。
ChatGPTが1億ユーザーを突破するまでの日数は約2ヶ月。Instagramが2年半、TikTokが9ヶ月かかったことと比べると、前例のないスピードです。現在は世界で約8億人が利用しており、成人に絞れば3人に1人が使っているツールにまで成長しています。
さらに最新動向として、AIエージェント(人間の代わりに検索・カレンダー登録・メール返信を自律的にこなすAI)や、AIが人間に仕事を発注するサービスの登場もご紹介。「数年後には1人1台のパーソナルAIエージェントを持つ時代になるだろう」という話には、会場の空気が一変しました。
生成AIはなぜ自然に答えられるのか
「生成AIと従来のAIの違い」を説明するのに、中島がよく使う例があります。AIに「隣の客は」と入力すると返ってくるのは「よく柿食う客だ」——有名な早口言葉です。生成AIは「正しいことを答える機械」ではなく、「確率的にもっともらしい答えを出す機械」です。この仕組みを知らないまま使うと、存在しない情報をそのまま鵜呑みにするリスクがあります。アメリカでは弁護士がAIに調べさせた判例が実在しないものだったという事例も紹介しました。
主要ツールはChatGPT(OpenAI)・Copilot(Microsoft)・Gemini(Google)・Claude(Anthropic)の4つ。テキスト・画像・音声の生成が可能で、「どう聞くか=プロンプトの質」が出力の質を左右します。
実際に触ってみよう——プロンプトのコツ
その場でスマートフォンにChatGPTをインストールしていただき、最初のお題として「あなたの仕事で一番時間がかかっている作業を、どうしたら削減できるか相談してみてください」と投げかけました。
回答に満足できなかった方も多かったため、プロンプト(指示文)の改善ポイントを解説。AIの回答は指示が抽象的なら抽象的に、具体的なら具体的に返ってきます。「一回で期待通りの回答が返ってこなくても諦めないで。会話の中でAIは相手のことを覚えていく。育てる感覚で接するのがポイント」——その言葉を境に、参加者の手が動き始めました。
会場が盛り上がったデモ:「書のまち春日井」×AI
音声入力のデモとして「春日井市の新しい名物を考えて」とChatGPTに話しかけると、AIが提案したのは「書道カフェ」。春日井市が「書のまち・春日井」としてPRしていることをAIがしっかり拾ってきた場面で、参加者から驚きの声が上がりました。
そのまま「書道カフェの画像を3パターン作成して」と指示すると、和モダンな内装・書を飾ったカフェ空間・にぎやかに書を楽しむ人々のイラストが次々と生成され、「写真風にもイラスト風にも変えられる」という実演に笑い声も起きました。
実務デモ:多言語マニュアルの自動翻訳
より実務に近いデモとして、フォークリフト周辺の安全マニュアルをChatGPTにアップロードし、ベトナム語版を自動作成する様子をお見せしました。図の中のテキストまで丁寧に翻訳されたWordファイルが出力されると、「翻訳会社に頼んだらいくらかかるか……」という声が会場から上がりました。外国人材の雇用が増える中、多言語マニュアル作成の課題を抱える企業にとって、リアルな手応えを感じていただける場面となりました。
安全に使うために
ChatGPTの個人プランではデフォルトでやり取りが学習に使われる設定になっています。仕事で利用する方は設定からオフにすること、個人情報・取引先から預かった情報・機密情報は入力しないことが基本です。
また、AIが出したアウトプットへの責任は常に人間にあります。「AIがこう言ったから」はいかなる場面でも免責になりません。正確さだけでなく「これを出して誰かが傷つくのでは?」という視点も含めて、すべて人間が確認・判断することが不可欠です。
質疑応答:現場のリアルな声に向き合う
終了後の質疑応答では、製造業の参加者から「作業指示書と検査記録書の自動化はどこまでできるか」という具体的な質問が上がりました。中島の回答は「中身を見てみないとわからない」——データの形式によって対応可能かが大きく変わるため、「できます・できません」と即答することよりも、実際に資料を見て一緒に試してみることが大切だという姿勢でお答えしました。
おわりに
「今日が初めて」だった方がほぼ全員という場でしたが、2時間の終わりには多くの方が実際にChatGPTで回答を受け取り、画像を生成し、生成AIを体験していただけました。まず一日一回、困ったときにAIに相談してみるところから——その一歩が、使い方のパターンを育てていきます。
春日井商工会議所の皆さまに、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
