AIエージェントDXPO'26専門セミナーに登壇しました

2026年5月20日、名古屋で開催された「バックオフィスDXPO名古屋'26」にて、代表・中島正博が専門セミナーに登壇いたしました。経営者から現場スタッフまで幅広い方にご参加いただいた約60分のセッションの内容を、以下にご紹介します。


なぜ今、AIエージェントなのか

セミナーは、3つのデータを問いかける形でスタートしました。

ChatGPTが1億ユーザーを突破するまでにかかった日数は約60日。Instagramの2.5年、TikTokの9ヶ月と比較しても、桁違いのスピードで社会に浸透しています。2026年2月時点で生成AIを使ったことがある日本人の割合は55%(1年前は29%)に達し、一方で「自社のAI活用が同業他社より遅れている」と感じる従業員は35%にのぼります。

こうした数字を入口に、「生成AIはもはや一部の先進企業のものではなく、すでに当たり前のインフラになりつつある」という現状認識を共有しました。


あなたの会社は、どのステージにいますか?

セミナーでは「AI活用の5ステージ」というフレームを用いて、自社の現在地を確認していただきました。実際に中島がお付き合いしている中小企業の多くは、まだステージ1〜2(個人での利用・試験的導入)の段階にあります。「社員が個人でChatGPTを使っている」会社は増えましたが、組織として本格的に取り組んでいるところはまだ少数、というのが現場の実感です。


生成AIの3つのステージを整理する

生成AIの進化を「チャット型」「作業支援型(コパイロット型)」「エージェント型」の3段階で整理しました。

なかでも注目したのがエージェント型AIです。人間がいちいち指示を出さなくても、「メールの受信」「売上データの更新」といったトリガーをきっかけにAIが自律的に動き出すというもの。たとえば、発注メールを受信したら在庫を確認して返信の下書きを自動作成する、仕入れと売上データから補充が必要な商品を選定して発注準備をする——そういった世界観です。


当日のデモンストレーション:3つの実演

セミナーでは実際のツールを使ったデモを3本披露しました。

① Notionを使った業務データ参照 日々の打ち合わせ内容やメール履歴をNotionに自動蓄積し、「〇〇さんとの過去のやりとりを振り返って」と一言入力するだけで、AIが時系列で整理して返してくれる様子をご覧いただきました。引き継ぎ書がなくても、AIに聞けば経緯が即座にわかる——業務継続性の観点でも注目度の高いデモとなりました。

② 月次レポートの自動作成 電気インフラ保守会社のトラブル対応履歴(ダミーデータ)を使い、「5月のレポートを作成してください」と指示するだけで、AIがデータの集計・記入・根拠コメントの付与まで完成させる過程を実演しました。

③ カレンダー連動の事前資料作成 最もリアクションが大きかったデモです。カレンダーに「JR東海 人事部打ち合わせ 生成AI研修について」と予定を入れただけで、AIが自動的に関連情報をリサーチし、想定アジェンダと確認すべき質問リストを作成。「頼んでいないのに、勝手にやってくれた」という体験が、AIエージェントの本質を伝える場面となりました。


中小企業が向き合う4つの壁

導入を進めるうえで避けて通れない課題として、以下の4点を整理しました。

① データがないと動かない AIはIQの高い新人のようなもの。自社のマニュアル・顧客データ・業務ルールがデジタル化されていなければ、まともに機能しません。

② 同じツールを使っても差はつかない ツールの優劣より「何を学習させるか」が競争力の源泉。長年積み上げた顧客との信頼関係や職人の判断基準をいかにAIに読ませるかが鍵です。

③ 若手育成の問題 議事録作成・情報収集といったエントリー業務をAIに任せると、若手が実務経験を積む機会を失うリスクがあります。「ベテランがAIの誤りを見抜けるのは実務経験があるから」——10年後を見据えた人材育成の設計が必要です。

④ 人間のやりがいの問題 AIが得意なのは計画立案・資料作成・ルーティン業務。一方で、相手を巻き込んで動いてもらう関係構築や感情を伴うサービスは人間の領域です。「AIの監視だけ」という役割設計は長続きしません。人間のやりがいをどう設計するかは、経営者が真剣に向き合うべきテーマです。


中小企業の3つの勝ち筋

勝ち筋① まず入れてみる AIエージェントの普及は既定路線です。過剰に心配せず、とにかく試してみる——その意思決定をすること自体が最初のステップです。

勝ち筋② 企業文化を浸透・凝縮させる 高度な業務はどこでもAIでできる時代になります。だとすれば、差別化の源泉は「その会社らしさ」です。企業理念・価値観・接客の温度感はAIには再現できません。デジタル接点が増えるからこそ、人間のタッチポイントのインパクトは相対的に大きくなります。

勝ち筋③ 技術・ノウハウを言語化して外に出す 大企業は今後、新規事業のパートナーをAIのDeepResearch機能で探してきます。そのとき、自社の情報がウェブ上に出ていなければ引っかかりません。「こんな技術があります」「このマーケットに誰よりも詳しいです」——そういった情報をレポートや記事として発信し続けることが、大企業との接点を生む準備になります。早くやるほど有利な、時間効果のある取り組みです。


おわりに

生き残る会社と乗り遅れる会社の分岐点は、能力でも予算でもなく**「姿勢」**です。先行している企業が特別なITリソースを持っていたわけではありません。「とりあえずやってみよう」と動き始めた——ただそれだけです。

試して、学んで、また試すサイクルを回し続けること。それがこの時代を生き抜く戦略だと、私たちは考えています。


生成AI研修・AIエージェント導入支援・講演・セミナーのご依頼・ご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

Meet the author

中島正博

1984年生まれ。名古屋大学文学部西洋哲学専攻。株式会社ジェイアール東海髙島屋に入社し、婦人服売り場、ブランドジュエリー売り場、広告、外商、経理などを経験し、2020年に退職。 マーケティング、コピーライティングのディレクションや企業の組織構築、マネジメント、人材採用・人材育成など、中小企業を総合的に支援するほか、経営者の個人コンサルティングなども行う。 生成AIの実践的活用の専門家。名古屋商工会議所にて生成AI活用相談員を担当。

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