9月11日、名古屋大学のオープンイノベーション拠点TOIC NAGOYAと共同で、「エフェクチュエーション・ワークショップ」を開催いたしました。
ワークショップの概要
本ワークショップでは、優れた企業家の思考法を体系化した「エフェクチュエーション」と生成AIを組み合わせ、わずか90分で基礎研究の社会実装アイデアを創出する新たなアプローチを実践しました。
エフェクチュエーションとは
エフェクチュエーションは、米国サラス・サラスバシー教授が27人の成功起業家を研究して開発した理論です。従来の詳細な市場調査と完璧な事業計画を重視するアプローチとは異なり、手持ちのリソースから始めて段階的に可能性を探る「実行重視」の実践的手法です。
大学の優れた基礎研究を社会に実装することは、日本の競争力向上において重要な課題ですが、従来のアプローチでは基礎研究の持つ無限の可能性を十分に活かしきれない場合がありました。そこで今回、新しい手法を体験していただきました。
ワークショップの内容
今回は名古屋大学の「有機修飾セラミックスナノ粒子の超臨界水熱合成」研究を題材として使用しました。この技術は、髪の毛の70万分の1サイズのナノ粒子を使い、従来混ざりにくかった材料同士を効率的に混合可能にする革新的技術です。
ワークショップでは以下の5つのステップを実践しました。
Step 1:AI加速によるアイデア爆発 ChatGPTとの対話により8分間で価値を発散。人間の創造性とAIの処理速度の相乗効果を実現しました。
Step 2:縁遠い領域との接続 既存の枠組みからの脱却で新たな応用先を発見。常識に縛られない発想転換を実践しました。
Step 3:「未来の新聞記事」で社会インパクトを可視化 アイデアの社会実装後の姿を具体的に描写し、ステークホルダーへの訴求力を飛躍的に向上させました。
Step 4:即実行可能な検証設計 SNS投稿、プレスリリース等による低リスク・高速検証手法を習得しました。
Step 5:パートナーシップ構築 協力依頼メールの作成を通じた「Ask(依頼する勇気)」を実践しました。
驚きの成果
わずか90分のワークショップで、参加者から実用性の高いアイデアが続々と生まれました。
あるグループでは、超臨界水技術を活用した「分解可能なオムツ」というアイデアが創出されました。このアイデアは環境問題と高齢化社会という2つの社会課題を同時に解決する可能性を秘めており、参加者からは「これは本当に社会に必要な技術だ」という声が上がりました。
定量的成果
- 90分でアイデア創出から検証設計まで完了
- 3グループすべてで実用性の高いアイデアを創出
- AI活用により従来の数分の1の時間でブレインストーミングを実現
参加者の声
参加者からは以下のような声をいただきました。
短時間でこれだけ具体的なアイデアができるとは思わなかった
自分では思いつかなかった視点が得られた
形にしてみると結構テンションが上がる
やってみたくなる、やれそうだという気がしてくる
多くの方が、実際にアイデアを具体化することで実行意欲が高まったと感想を寄せてくださいました。
今後の展開
今回のワークショップは、TOIC NAGOYAさまとのお話の中で、「大学関係者から"自分の研究が何に使えるのかイメージするのが難しい"と相談をよく受ける」というお声から企画が始まりました。
90分と短い時間でしたが、このワークを通じて研究者の方がご自身の研究の社会的な価値に気付き、社会実装の一助になれば幸いです。
今後も「#名古屋にエフェの風を吹かせる」をキーワードに、幅広い領域でエフェクチュエーションの魅力を伝えていきたいと考えています。
スノーフレイク・コンサルティングでは、今後も革新的な手法を用いた研修・ワークショップを提供してまいります。