(2021/07/16 日経MJより)正義の味方は商売上手か?ソーシャルジャスティスが作る市場。

(私のマーケティング論) 「何を」より「なぜ売る」が重要:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73899750V10C21A7H24A00/

 「米国ではソーシャルジャスティス(社会正義)との言葉が注目されています。先日、テキサス州のこんなニュースを見ました。小さなケーキ店がLGBT(性的少数者)の人たちを尊重しようとSNSに投稿したら、保守的な人たちからフォロワーから外すと言われたそうです。店長が困っているとつぶやくと翌日、店の前に支援する人たちの長い列ができました」

 「こうした出来事は日本でも起こりうるでしょう。情報は隠せない時代です。ソーシャルジャスティスの意識を持たないと、消費者からそっぽを向かれかねません」

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ソーシャル・ディスタンスではなくソーシャル・ジャスティスね。ただ、ジャスティスがビジネスになるには、マーケットがジャスティスを応援してくれないといけない。たとえば、最近は飲食系の企業がソーシャル・ジャスティスとして、飲食業への営業自粛に反対したが、消費者はそれにどう反応しただろうか。何がジャスティスかという問題もあるが、ジャスティス的な行動をマーケットが明確に支持しなければ、絵に描いた餅になる。

(ジェネレーションZ)原宿・渋谷 特別じゃない:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73897530V10C21A7HF0A00/

元ギャル男の社会学者・荒井悠介氏は、この変化を「ギャザリングからシェアリングへ」だといい、「戦場」は路上からソーシャルメディア上へ移ったと語る。若者たちはミヤシタパークという特定の施設で消費することを目的に渋谷へ行くけれども、それは渋谷に愛着を持って街角に「たまる」こととは異なる。ストリートに通う若者が減った今、街への憧れや、その街独特のサブカルチャーは生まれにくいのだろう。

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確かに、「たまる」「ダベる」っていうのは、みんなでダラダラ話したいから生まれる行為なので、SNS上で欲求充足できてしまうわけか。渋谷でたまるより、クラブハウスでいいやって話になるのかな。しかし、ストリートのような文化醸成力が今のSNSにあるようにも感じられない。文化の源泉は今後、どこに移動するのか?

(銀座 不屈の一番街 5)歌舞伎座 新常態の型に:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73897370V10C21A7HF0A00/

動画配信という新たな観劇の方法は、演出自体の変容も促した。歌舞伎座がビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」にあやかって名付けた配信向けの歌舞伎「図夢歌舞伎(ずぅむかぶき)」。20年6月、「忠臣蔵」をライブで配信した。

 主役の一人、塩冶判官が切腹するシーンは、画面を分割し、顔のしわが一本一本見えるほどズームアップして表情に迫った。ところどころで収録映像を差し挟み、視聴者を飽きさせない演出をした。松本幸四郎や市川猿之助が出演する第2弾の「弥次喜多」は、アマゾンプライム・ビデオなどで配信し、幅広いファンの開拓を狙った。

 15分程度の短い時間で楽しめるコンテンツも増やしていこうとしている。歌舞伎を見る、そのハードルを下げていくのが狙いという。

 「銀座カラーのひとつとして、演劇を根付かせ続けたい」と千田は言う。ハレの日に来る華やかな銀座。おしゃれをして、ちょっと胸を高鳴らせて。特別なこの街を守るために力を尽くす人々がいる限り、銀座は輝き続ける。

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コンテンツの価値のピラミッドの頂点が高くなるには、裾野が高くないといけない。歌舞伎が「生」へのこだわりを捨てて裾野を広げたことで、逆に頂上である「生=LIVE」の価値は高まる。これからはドラマだって映画だっていつでも見られるからこそ、生の舞台の価値がますます高まるだろう。いずれフルバージョンの上演が始まれば、その時こそ歌舞伎が攻勢に出る絶好の機会になるだろうな。

(サステナ塾) 食品ロス削減、小売企業の役割:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73898650V10C21A7H33A00/

消費者の意識と行動変容も重要だ。小売企業は、地道に啓もうしたり、インセンティブを付けたりしていくしかない。ただ、国が強力に主導しているのが中国だ。なんと4月末に「食べ残し」を禁止する法律を施行した。飲食店は客に過剰な注文を促すと罰金、大食いを配信するコンテンツにも罰金が科せられる。

 昨年の豪雨やバッタの大量発生による農作物への甚大な被害、コロナ禍による食料輸入の不安定化が背景にある。中国にはもともと客をもてなす際に食べきれないほど注文する習慣があるが、人々の習慣や価値観を法律によって直接的に変えようとしているのは、驚きだ。

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たしかに、フードロスの課題は文化問題でもある。ゴミのポイ捨てが良くないという文化も、前の東京五輪の際に政府がプロモーションして広まったものだ。ただ、ゴミのポイ捨て禁止は意識と行動の変容だが、フードロスは経済システムの変容を伴う。中国がそれができるのは、政治が経済を統制できるから。そこには合意もなく、精神性もない。SDGsしかり、自発的な文化的定着が必要だが、その機運が高まるにはもう少し社会に余裕や希望が必要な気がする。

渋谷で生まれる循環消費:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73898570V10C21A7H33A00/

環境に配慮した商品は消費者の関心が高まる一方、価格に敏感だ。ボストン・コンサルティンググループが6月に公表した調査によると、「価格が高くなっても環境負荷が低い商品を選ぶ」とした消費者は食品・日用品カテゴリーで2割にとどまった。渋谷肥料の取り組みは大量生産が難しくコストがかかるが、「商品を高価格帯にすることでコストを吸収していく」という。

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環境に優しい商品に、一体いくらまで払えるのか。そもそもの経済的余裕がなければ、高いものは買えない。ということは、環境に優しく価格の高い商品を買うことは、ノブレス・オブリージュ(財力、権力、社会的地位の保持には責任が伴うという考え方)になるのだろうか。

(米国流通 現場を追う) ウォルマート、従業員向けアプリ導入:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73898320V10C21A7H96A00/

小売業界のデジタル化というとどうしても話題がEコマースになってしまうが、ウォルマートはデジタル技術を従業員の作業支援のために使うとはっきりと公言している。負担軽減によって生まれた余剰時間をお客へのサービスに使ってほしいとも言っている。ウォルマートのデジタル変革は従業員の仕事環境も大きく変えつつあるのだ。

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ウォルマートが、アプリで労働時間を削減した結果、従業員を削減せずに、サービスを充実しようというのであれば、これは本当のDXということになる。エブリデイ・ロープライスから、ロープライス・ハイバリューに舵を切ったと考えてもいいのかもしれない。

(ミレニアルスタイル) 「植物のある暮らし」広がる:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73898050V10C21A7H53A00/

100円ショップで手に入る観葉植物だが、ミレニアルズの購入先は大規模園芸店が多い。圧倒的な品ぞろえの「オザキフラワーパーク」(東京・練馬)、植物のテーマパークのようだと人気上昇中の「ザ・ファーム・ユニバーサル」だ。

 これらの店は「広い敷地の中の緑に囲まれ、コロナの閉塞感から解放された気分になる」「自分の好みで買える」と多くの人が評価する。「お気に入り」をインスタにアップしており、「#植物のある暮らし」は163万投稿にもなる。

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グリーン・セラピー(緑によって心身を癒す手法や考え方)は今後の大きなトレンドになると思うが、植物の成長がSNS投稿と相性がいいというのは面白い。植物に限らず、SNSに上げたいがために何かを育てるというブームが起きるかもしれない。

音楽レッスン、ネットで手軽に:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73897950V10C21A7H53A00/

受講生はレッスンをウェブサイト上で受けることができる。講師の演奏を収録した動画を使って練習する。教材として使う動画は1回10~20分。実際に自分が演奏した動画を録音し、ウェブサイト上にアップすると、講師から感想などフィードバックが返ってくる。

 講師は厳選された著名演奏家をそろえており、月1回程度のペースで演奏を収録する。収録形式であることは演奏家にとっても利点だ。毎週決まった時間を拘束されないため、本業の支障にならない。今夏に人気J―POPアーティストの講座を開講予定だという。

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非対面のレッスンなんて寂しいかと思いきや、気軽さがあっていいのかもしれない。ただ、ギターやバイオリン、管楽器などはちゃんと音を出せるようになるまでが難しいが、その辺りもうまく動画の説明でカバーできるのだろうか。エントリーユーザー狙いなのか、一時期楽器を触っていたがしばらく離れた人向けなのかで、サービスの設計なども大きく変わってきそう。

百貨店のファンコミュニティ:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73896990V10C21A7H63A00/

従来は年齢や性別、これまでの購入履歴からニーズを予測して顧客へ販促することが一般的だった。

 ただ、近年は消費者の価値観が多様化している。より個々の顧客の関心事を認知していないと効果的な情報発信にはつながらなかった。

 そごう・西武は百貨店業界の中で比較的若年層の支持が高い。旗艦店の西武池袋本店(東京・豊島)は21年2月期の売上高が1385億円でツイッターの公式アカウントのフォロワー数は10万人を超える。

 売上高では国内首位の伊勢丹新宿本店(2070億円)に及ばないが、ツイッターのフォロワー数では約4万人上回る。ネット上の支持層が多い点を生かし、コミュニティサイトを通じた情報発信が効果的と判断している。

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企画担当者が本当にそこに着眼したかはわからないが、そごう・西武は伊勢丹に売上で700億負けているがTwitterのフォロワー数で4万勝っているという対比は面白い。ファンコミュニティの強化で700億円のビハインドをひっくり返すことができたら面白いが、ファンコミュニティによる販促の効果やいかほど。

(奔流 eビジネス 徳力基彦) プロセスエコノミーに注目:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73897780V10C21A7H21A00/

従来の完成品を販売するメーカーであれば、サービス開発は社外秘だろうし、顧客の意見を聴くのにリサーチ会社やインタビュー対象の人に謝礼を払っていただろう。それが、わざわざ自分でお金を払ってサービス開発のプロセスに協力してくれる顧客がいるというのはにわかに信じられないかもしれない。

 ただ、こうした傾向は明らかに昨今加速している印象がある。自分が顧客になった場合を考えたら、単純に同じような品質の商品やサービスであれば、その商品の開発のプロセスに自分が関わった商品やサービスの方を選びたいという気持ちはイメージできるのではないだろうか。

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もはや商品を買うのではなく、商品を一緒に作るという体験を買っている。商品は、体験のおまけみたいなものだ。本体とおまけが逆転している。かつてのビックリマンチョコのように、おまけを集めるために本体を買う行動が増えるだろうな。そうなると、大切なのは本体ではなくおまけ。つまり、体験の品質をどんどん上げていかないといけない。商品の品質にフォーカスしていたら道を間違える。

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