【新幹線の貨物列車化に学ぶ】世界がひっくり返った時に考えるマーケティング

コロナ禍でリモートワークやオンラインミーティングが一般化したことで、鉄道、特に新幹線は大きな打撃を受けました。今までなら出張で赴いていた場所に行かずに、オンラインで打ち合わせをして済んでしまうからです。この「戻ってこない需要」を埋めるために、JR東日本は新しい事業展開を模索しています。そこから、「今までのルールがガラリと変わってしまった時に考えるマーケティング」を学びます。

【引用記事】(物流インサイドリポート) 新幹線も貨物事業にシフト

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77463010R11C21A1HF0A00/

【記事要約】

JR東日本は10月1日、新幹線で小口の荷物を運ぶ新たなサービスを開始した。東北新幹線の東京―仙台間、上越新幹線の東京―新潟間が対象となる。事前予約は不要で列車が出発する30分前までに出発駅のサービスカウンターに荷物を持ち込めばいい。

・他のJR旅客各社もそれぞれ新幹線を利用した貨客混載事業に本格的に乗り出している。産地で朝に取れた生鮮品をその日のうちに消費地のスーパー店頭に届ける即配サービスなどが試験運用されている。

・もともと新幹線は、川沿いや山裾を縫うように走る在来線と違って、長いトンネルを真っすぐ進むため、速いだけでなく悪天候や災害にも強い。陸上最速かつ定時性、安定運行にも優れた輸送サービスだ。CO2排出量もトラックと比べて約13分の1、船の約2分の1と圧倒的に環境に優しい。

・ただし、現状の新幹線物流は車内販売準備室などの空きスペースを利用するだけにとどまっている。取り扱える荷物の種類や物量は限られる。本格的な物流サービスの提供には貨物専用車両の開発が必要だ。地域別に会社が分かれている体制も物流サービスの運用には足かせになる。そこはJR7社で唯一全国展開しているJR貨物が新たな役割を果たすことになるかもしれない。

【ポイント解説】有事だからこそできる、発想の転換

・マーケティング戦略の考え方として、「ニーズ起点」と「リソース起点」がある。前者は、既にある(もしくは今後発生すると見込まれる)顧客ニーズを埋めるために、自社のリソースを活用したり、整備したりする。後者は、今ある自社のリソースを活用して何ができるかを考える。

・今回JR東日本は、今まで対応してきたニーズが突然消滅したことで、ニーズ起点の戦略が取りにくくなった。そこで、自社のビジネスが持っている特徴をリソースとして考えて、新しく取り込む需要を探しに行った。

・その時に、自社のリソースとして「速い」「災害に強い」「定時性」「CO2排出量が少ない」などを考えた。これらは、新幹線の本質的な価値ではなく、自社のビジネスの発展の中で追求してきた副次的な価値だが、この価値が主役になるようなビジネスを考えた時に、鮮度の高い食品の運送が考えられた。

・平時であれば、「新幹線で食品を運ぶなんて割りに合わない」と考えられそうだが、今のように「世界がひっくり返った」時だからこそ、取り組もうという機運が高まる。その時には、自社のリソースや強みをあらためて見直す必要がある。

【マーケティング力を高めるヒント】

・今まであまり重視してこなかった、自社の強みや特徴的なリソースは何かありますか?

・自社が今主に取り組んでいる市場が、完全に消滅したとしたら、その強みやリソースを使って、どんなお客様のどんなニーズにアプローチしますか?

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